「そうね…まず貴女の過去を話す前に私の立場を話しておかないとね」 「お義母さんの…立場?」 そう言えば、お義母さんは私が白龍族だと知って私を育てていた。 何故知っていたのか訊いたこともあったけど、その時は何も答えてくれなかったのだ。 「多分、訊いたら驚くから、覚悟してね」 始めはいつもの調子で言っていると思ったけど、その声は確かに真剣だった、だから私も覚悟を決めた。 「私はね…実は黒竜族の女王なのよ」 「…」 「もしも〜し、エルちゃ〜ん?」 「…黒龍族って、あの…私達の反対の?」 「ええ、そうよ」 「…」 …いや、覚悟はしてたけど…思わず私の口からこんな言葉が漏れ出した。 「もしかして…初め生贄にでも使用としてた?」 「…なんでそうなるの…」 「いえ、なんとなくです」 そのお義母さんの…女王様の声は凄い落ち込んでいました。
白龍族として… 2 揺れる気持ち 「そうですか?」 「…エルちゃん、変わったわねぇ…」 「…」 変わったという自覚もある。 だが、エルにとってはそれが嬉しいことであると同時に少し寂しいことでもある。 「…エルちゃん?」 自分の台詞をあとに表情を変えたエルに義母が問いかける。 「私、やっぱり、白龍族失格なんでしょうね…」 「…え?」 エルが吐き出した台詞が予想外だったのか、ちょっと間の抜けた返事を返す義母。 「…今日、はじめて自分の怒りの感情に任せて魔法を放ちました」 「…」 「そのことは…私は後悔していません。 …ただ、白龍族としては、だめなんでしょうね…」 ちょっと晴れやかで、でも少し寂しげな表情で語るエル。 「…でも、これでいいんです、もう、自分の感情を完全にコントロールすることは出来ないでしょうし、したいとも思いませんから…でも」 「でも?」 「…もう、本当のお母さんに、白龍族の皆に、会う資格も、無いんでしょうね…」 エルが必死に涙をこらえていた。 だが、それと同時に何処か晴れやかな表情をしていた。
しばらく続いていた沈黙、それを破ったのは義母のほうだった。 「…え?」 「エルちゃんが、本当のお母さんや、白龍族の皆さんと会う資格がないなんてことは無いわ」 「…」 「だって、エルちゃんは強いし、優しいわ」 「そんなこと、ありません」 義母の言葉を即座に否定するエル。 「私は強くは無いし、『優しい』のではなくて、『臆病』なだけです。」 自分の意思を持ち、それを貫き通す少年。 本当の、相手を癒すかのように包み込む少年。 自分と彼等の違い、それは意思の強さ。 エルは、そう思っていた。 「…やっぱり、変わってないところもあるのね」 「…はい?」 「謙遜も良いけど、過ぎると嫌味にしか聞こえないわよ」 「…」 「エル、貴女は誰かと比べて、そういう風に思っているのでしょう? でも、私が思うにエルちゃんは自分を過小評価しすぎなのよ」 「そんなことないですよ…」 「まあ、それはともかくとして、少なくともエルちゃん、貴女に白龍族でいる資格がないなんて思わないわ、私は」 「…でも」 「はいストップ、それに、あの人もそんなことは思わないと思うわよ」 「あの人? …もしかして!」 「…そう、エルちゃんの本当のお母さん、あの人だってそう思うわよ、ね」 義母が誰かに問い掛けるように呟く、それと同時に、ごく僅かではあるが周囲に変化が出来たような気がした。 そして…。 「そうよ、エル」 「…ッ! 誰!?」 思わず身構えるエル。 だが、その声には思いっきり心当たりがあった。 とても懐かしく、いつも聞きたいと切に望んでいた声。 …と、目の前が少し歪むみ、すぐに戻る。 そして、その歪みが元に戻ると同時に、一人の女性が姿を表した。 エルと同じような白衣を纏った、優しそうな女性。 それは…紛れも無く。 「お母…さん」 エルの母、その人だった。
to be continued…。
後書き うっわぁ(滝汗 凄い遅くなってしまった(汗 と言うわけでReason'sFang30話お送りしました(汗 とりあえず、次がいつになるか分かりませんが、なるべく暇があったら執筆しますので気長にお待ち下さい(滝汗
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