「ん…ここは?」

 リムは覚醒し、体を起こす。 特に異常は無いようだ。

 そして周囲を見渡す。 先ほど気絶した部屋と余り雰囲気は変わっていない。

 …周りに誰もいなくなり、しかもかなり広くはあるが、壁に囲まれた部屋であることを除けば。

「ちっ…」

 リムは自分の不注意を後悔した、他の皆は大丈夫だろうか…?

 そう考えた瞬間、突然部屋に地響きが走る!

「ッ!?」

 リムはウェルチとReason'sFangを引き抜く!

 目の前に…部屋の中心に忽然と、ドラゴンが姿を現わしていた!!

Reason's Fang19話
秘められた罠 リム編




「こ、これは!?」

 リムが驚くと同時に炎を吐いてくるドラゴン!! サイドステップで炎を避けるリム!

「一体…」

 良く見るとドラゴンはただのドラゴンではなかった。

 種族にすると緑龍族系のドラゴンのようだが、その所々に機械の部品のようなものが生めこまれている。

 と、ドラゴンが腕を振り下ろしてくる! すれすれでかわして体勢を整えるリム。

「やるしかないか…」

 改めて武器を構えなおすリム。 右手にReason'sFang、左手にウェルチを持っている。

 サイドステップで移動し、武器を振り下ろす!

 ガキイイィィ!!

「うあ…っ!」

 思いっきり振り下ろしたウェルチは、敵に当たる前に空中で何かにぶつかった!

「ぶ、物理防御壁!?」

 魔法を詠唱したようなそぶりは見せなかった。 一体…。

 と、同時に、ドラゴンがこっちを向き、息を吐きかけてくる!

 慌てて避けるリム。 どうやら、その吐息は猛毒のようだ。

「な、なんつう…」

 そして、ドラゴンが尻尾で叩きつけてくる!

「ぐあ!!」

 避けることが出来ず、ウェルチとReason'sFangをクロスさせて防御したが、その攻撃はリムを弾き飛ばす! そして壁に叩き付けられる!

「くぅ…」

 なんとか立ちあがるリム、武器に魔力を溜めると同時に同時に詠唱を始める!

「炎よ、我の力となれ! キュア!」

 短い詠唱が終わると同時にリムを光が包み込む、動きが鈍くなりかけていた体が動きやすくなる! リムはさらに詠唱を続ける

「炎よ! 我を覆いて護る鎧となれ! プロテクト!」

 リムの周囲を紅い光が纏う、防御魔法だ。

 魔法を終えると同時にサイドステップで回りこむ。 今リムがいた場所を炎が通りすぎる!

 リムは背後に回りこむ!!

「ハァッ!!」

 完全に背後に回りこむと同時に小さく跳躍する!

「クロス・ディメンジ!!」

 叫ぶと同時に武器に強い光が宿る! 光が宿ったウェルチを叩きつける!

 ガギイイイィィィィィ!!!!!!

 先程より大きな音を立ててぶつかる! と、右手のReason'sFangを横に薙ぐ!!

 ガキィ、パリリィィィイィ!!

 ドラゴンを護っていた障壁がその一撃で崩れ落ちる!

「クロス・ディメンジを使って壊れないとは…」

 と、右手の短剣を見ながら言った。 これに耐えれたのは今までウェルチだけだったので少し驚いていた。

 護りを解かれたドラゴンは、先程よりも激しくリムを攻撃してくる!!

「のわ! うわ! おっと!」

 炎を吐き、毒の息を吐き、尻尾を振りまわす!

 リムは全てを避けきれずに、細かい傷を負っていた。

 さらに近づく事が出来ない。

「嘗めるな…真空斬!」

 叫んでウェルチを振り下ろす! 同時に、ドラゴンの体をそこで発生した風の刃が切り裂く!

「グギャアア!!」

 大したダメージにはならなかったようだが、隙が出来た!

 リムは止まって詠唱を開始する!

「我に宿りし炎よ! 輝ける光纏いて敵を焼き払え!」

「シャインフレイム!!」

 詠唱を終えると同時に光と炎が生まれ出る!

 光が敵を焼き、炎が敵を包み込む!

「ガアアァア!!」

 だが、ドラゴンに纏った炎は、ドラゴンのブレスでかき消される!

 チッ…。 と心の中で舌打ちをするリム。 同時に、敵に肉薄する!

 もう一度武器に魔力を篭める!

「龍吼!」

 ウェルチを叩きつける!

 ざしゅうう!! ウェルチは敵の体を切り裂く! 効いてはいるようだが、まだ敵は活発に攻撃を繰り出してくる!

「しぶとい!」

 リムはそう叫んでから敵と距離を取る。 そして、Reason'sFangとウェルチに力を篭め、詠唱を始める!!

「炎よ! グランフレイ!」

 魔法で作られし炎がドラゴンに襲い掛かる! 同時にリムが詰め寄り、背後に回りこむ!

 ドラゴンは炎に気をとられ、リムに気付かない!

「クロス・ディメンジ!!」

 ほぼ同時に剣を振る! 光を纏った刃がドラゴンを切り裂く!!

「グギャアアァァァ!!」

 断末魔の悲鳴を上げてドラゴンは倒れこんだ!




「ふぅ…」

 一息ついて武器をしまうリム。

「使いこなせてるんだな…」

 Reason'sFangを眺めながらそう呟くリム。

 正直な話、あまり二刀流はしたことが無い、だが、それが当然のように行動していた。

 まるで、これが当然であるかのように…。

「なんなんだろうな…」

 そう呟いても誰も答えない。

「ってか、どうやって出るんだ? この部屋…」

 愚痴った次の瞬間、リムの周りに光が立ち昇る!

「うわ、な、なんだ!」

 そして、意識が薄れていく…。




 リムが再び意識を取り戻した瞬間、先ほどの通路の手前にいた。

「…?」

 だが、周囲には誰もいなかった。

「みんな、大丈夫か…?」

 とりあえずリムは待ってみることにした。

to be continued…。




 後書き
 という訳でReason'sFang第19話をお送りしました〜♪
 さて、次は誰にしようかなぁ…(ぉぃ
 そしてちょっとネタ不足中(汗
 
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