「…ったく、どうなってるんだ?」 タロンがそう呟く。 結構深いところまで進んだと思うのだが、一向に景色が変わる様子がない。 中に住んでいると思われたモンスターも全くと言っていいほどいない。 一体どうなっているのだろうか…。 「こういう構造だと、地下に行くほど苦しくなるもんだが…やっぱり超科学の賜物なのか?」 呟きまくるタロン。 「なあ、タロン」 「ん、なんだ? リム」 「その、超科学って、どう言う技術なんだ?」 前から気になっていたこと。 超科学が500年以上前に滅びた技術だとは聞いたが、それ以外のことは分かっていない。 「まあ、知らなくても良いとは思うんだが…それじゃ一応説明しておくか」
悲しみと記憶の欠片2 Reason'sFang 「危険?」 何時の間にかエルとウィルも集まって聞いていた。 「ああ、無論、そうじゃないものも多いが、危険なものの中にはとんでもないものもあるからな」 「とんでもないって、例えばどんな?」 「そうだな…」 タロンは少し考え込んだ。 「例えば、銃ってあるだろ? あれも超科学の産物なんだ」 銃、誰にでも簡単に人を殺傷出来るものから、使い手を選ぶが、とてつもない威力を秘めているものまでさまざまだ。 実際リムも銃に苦しめられたことがある。 だが…。 「でも、それはそこまでとんでもないって程でもないけど…」 ウィルもそう思ったのか、そう答えた。 「…まあ、一般的に知られているものならな、まあ、また銃とは違うんだが…」 「?」 「村一つ…いや、ある程度大きい町だって簡単に消せるものも中にはあったんだ」 「!!」 「しかもそれだけじゃない、その大地を不毛の大地に変えてしまうと言うオマケ付きだ」 「…」 あまり具体的には実感が沸かないが、とんでもないということは分かった。 村や町を容易に滅ぼし、しかも不毛の大地に変えてしまう。 それはすなわち生き残った者をも死に追いやる。 「まあ、おれも人から聞いた話だから確証は無いんだが…そういうのが量産されていた時代もあったらしい」 「…そんな」 エルがやっとのことで呟く。 「なんて物が、あるんですか…そんな、本当に大量の人を殺すためだけの道具なんて…」 「流石にその武器はその当時も使用禁止にはなってたらしいがな」 「…でも!」 エルの悲痛な叫び、彼女は、争いごとを非常に嫌う。 そして、その痛みを自分の痛みのように、いや、痛みそのものとして受け取ってしまう。 「話しを戻そう、そう言うものなんだ、超科学と言うものは、だが、500年程前にとある事が起き、超科学を含めた文明のほとんどが滅びてしまった」 「それじゃ、ここもその名残なの?」 ウィルがそう問う。 その問に首を横に振るタロン。 「正直な話し、分からないと言ったところか」 「分からない?」 「ああ、さっきも言ったと思うが、ここは過去の最高の技術をのさらに進化させたもののような気がするんだ」 「どういう、こと?」 「分からん、気のせいかもしれないが、そうでなければ説明がつかないんだ。 …っと」 タロンが言い終わると同時に立ち止まる。 良く見ると、いつの間にか広間のような場所に出ていた。 通路は、目の前に続いているが、周囲の壁の一部に模様のようなものがついている。 「…コレは…」 「罠、か?」 タロンがアイテム袋をまさぐる。 そして取り出したのは石。 その石を壁の模様に投げつけてみる。 ゴン、と音を立てて石は転がった。 「…大丈夫、かな?」 「なんで石を持ってるんですか?」 エルの問い。 「石って馬鹿に出来ないぞ、こういう時に調べるのに便利なんだが、必ず落ちてるとは限らないからな」 そう言いながらタロンは石をアイテム袋に仕舞った。 リムは壁の模様に近づき触ってみた。 すると、突然模様が光り出す!! 「わわ!?」 慌てて飛び退き、ウェルチを構えるリム。 「√……凵ソ∪…G-No.5610…▼…煤゚刀c」 突然周囲から声が漏れる。 だが、途切れ途切れのうえ、何を言っているかはさっぱり分からなかった。 一部を除いて。 「G-No.5610…?」 ウィルが呟く。 と、同時に光が収まり、壁の模様が…いや、模様のあった壁自体が消え去った。 「な、なんだったんだ?」 「おれに聞くな」 とりあえず壁があったところの奥を覗くリム。 その中は部屋みたいになっていた。 なんだか、液体の入った大きなガラスケースみたいなものや、機械が置いてあった。 「これは…?」 一体何なのだろうか? と言いかけてリムは部屋の中に何かを発見した。 白い牙のような…短剣。 リムは部屋の中に入り、短剣を手に取った。 と、短剣が一瞬輝いた。 が、光はすぐに収まった。 「???」 リムは少々混乱していた。 別に体に異常がある感じはしなかったが。 それよりもリムはその短剣が手に吸い付くような感じを覚えていた。 「Reason'sFang…?」 リムは自然とその言葉を口にしていた。 「Reason'sFang? それの名前ですか?」 「ああ、多分…」 エルの問いに半分疑問に思いながらもそう答えるリム。 「Reason'sFang? …『理の牙』…?」 「え、これが?」 タロンの呟きに反応するアルメリア。 「いや、それにしては理を崩すような力は篭められてないと思うんだが…」 リムはさらに混乱していた。 自分が何でこの短剣の名前を知っていたのか。 「まあ、リムが持ってて問題は無いんじゃないか?」 結局タロンのその一言で持って行く事にした。
何故か、リム以外が触っても反応はしなかった。 因みに、他の部屋には特に何も無かった。 「…となると、本命はこの奥か?」 タロンは伸びている通路の先を見て言った。 「多分…そうだろうね」 「ええ…」 「そう、ね」 「ああ…」 この奥に、『理の牙』が…。 今まで捜し求めてたものが? 「よし、それじゃ行くか」 リムがそう言って踏み出した瞬間、リムの周囲が輝き出す!! 「んな!?」 リムは咄嗟に飛びのこうとしたが体が動かなくなった! 「リムさん!? …えっ!?」 「リム…くそっ!」 どうやら他のメンバーも同じ状態のようだ。 リムはそう思いながら、意識が遠のくのを感じていた…。 to be continued…。
後書き はい、というわけでReason'Fang第18話をお送りしました〜♪ 次回からはしばらく個人戦が続きます、先頭をきるのはリム! 果たして作者は上手くかけるのでしょ〜か!(ぉぃ
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