「ふぅ…」 「リム、凄いね〜!」 「リムさん、凄いです〜!」 ウィルとエルが喜びながら近寄ってくる。 「ああ、まあな」 苦笑しながら答えるリム。 「でも…だんだんバケモノじみてくるね、リム」 「…お前達、本気のタロンと殺り合いたいか?」 なんとなくウィルの言いぐさにむかついて笑顔でそう返すリム。 慌ててぶんぶんと首を振るエルと微笑んでいるだけのウィルであった。
悲しみと記憶の欠片1 懐かしき見知らぬ場所 落ちていたウェルチを拾い上げながらリムはそう呟く。 「ああ」 目の前には何度見ても洞窟とは思えないものが…。 「まるで、誰かが住んでるような…」 と、エル。 確かに人工のものとしか思えないが…人が住んでいた…のか? どちらにしてもこんな所に住みたくないとリムは思ったが。 「どうなんだろうな…ウィルはどう思う?」 と、リムはウィルの方に振りかえってみる。 「……」 「ウィル?」 「ん? あ、いや、何でもないよ」 何故だかウィルの反応が鈍かったような気がしたが…。 「さあ、行くぞ」 そう行ってタロンが入っていく。 「ああ」 こうしてリム達は、望郷の社に入っていくのだった。
タロンはそう呟いた。 何と言うか、人が住むような感じでもなかった。 大人2、3人が並んで通れるぐらいの横幅の右の方にらせん状にゆるやかに曲がっている通路は無機質な光る壁で一面を覆われている。 眩しいわけではないが、なんとなく落ち着かない雰囲気を醸し出している。 因みに前からリム・タロン・アルメリア、ウィル、エルの順である。 「…」 リムはそんな中に不思議な感覚を味わっていた。 …なんだか、暖かくなるような…懐かしいような。 でも、少なくともこんな光景は見たことが無かった。 似たような光景も見たことがあるわけがない 何か大切なことを忘れたままのような…。 そんなどこか引っかかるような感覚。 リムはその感覚を覚えていた。 「なんなんだ…?」 なんだか頭がボーっとするような気がする。 …と。 「殺気!?」 リムは飛び退きウェルチを引きぬく。 前方に昨日のクリスタルの像! 「炎よ! グランフレイ!!」 今までより遥かに短い詠唱、だが、その威力は衰えるどころか逆に強くなり敵を焼き払う! 「…というか、殺気を感じなかったんですが…」 「リム、やっぱりバケモノ…」 余りのことに呟くエルとウィル。 武器を取り出す暇も無かったようだ。 「「…って、まだ生きてる!」」 リムとタロンの声が重なる。 同時にタロンが剣を取りだし突進する! 「紅蓮!」 タロンの剣に炎が纏い、像を切り裂く! 像は真っ二つに斬り裂かれる! 「よし」 「…僕達って、本当に足手纏い?」 「…なのでしょうか…」 自分達の存在意義を疑いたくなるエルとウィル。 「だいじょうぶ大丈夫♪」 そして何が大丈夫なのか分からないが、気楽に言うアルメリアだった。
曲がる角度もそんなに変わった感じがしない。 「いつまで続くんだろう…」 そう呟いた所で何かが変わるわけでもないと思うが、呟かずにはいられなかった。 「…リム」 ウィルがリムにそっと呟く。 「どうした? ウィル」 「僕、ここ見たことあるような気がするんだけど…」 「ほんとか?」 「うん、でも…」 「でも?」 「懐かしい感じはするんだけど…全然記憶に引っかかりもしないよ」 「…」 懐かしい感じはするけど、記憶に無い。 立場は違えど、リムはなんだか自分の状況に似ているような気がした。 自分も懐かしい感じはする。 だが、全く記憶が無い…。 「エル?」 「はい?」 「ここって…懐かしいとか、そんな気分になれるか?」 「…いえ、流石に…」 苦笑しながら答えるエル。 だよなぁ…俺の思い違いか?
アルメリアが珍しくリムに話し掛けて来た。 「どうした?」 「リム君…さっきの戦いで魔法を使ったとき、どう感じた?」 「どうって…」 そういってからちょっと考え込むリム。 「体が…熱くなったかな?」 「熱く?」 「ああ、それ以外は変わらないと思うけど…」 「…変ね」 リムの答えにそう呟くアルメリア。 「変か?」 「…ええ」 そう呟いてタロンの元に戻るアルメリア。 「…俺って、変なのか?」 その問いに答えるものはいなかった。
大きな奔流に乗ってしまった事を。 恐るべき展開を、そして、それが大きな悲しみにつながるという事を…。 to be continued…。
後書き はい、なにやら勝手に(ぇ 第2章望郷の社編に入りましたReason'sFang第17話をお送りしました〜♪ 正直に言って、あんまり展開を考えてないんですよ(汗 ふぅ…どうしましょうか?(聞くなよ
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